唯一、この病室に出入りするのは

看護師の水野麻子(ミズノ アサコ)さん、だ。

もう10年以上の付き合いになるから

姉のように良くしてくれてる。


「どう、調子は?痛いところとか、締め付ける感じとかない?」

そう言いながら、点滴のチェックや

僕の顔色を、それとなく確認していく。


「ん、平気。明日は、学校行けるかな?」

「大丈夫じゃない?…ね、何か良い事でもあったの?」

突然、何を言うんだか。

良い事なんてあるはずない――――

と思っていたら、何となくアイツの顔が浮かんできた。

昨日、僕のクラスに転校してきた

【湊優月】

おとついの夜、僕を助けてくれたヴァンパイア。