「何、何？」
燐が上手く女子生徒から逃れ、私達のところへやって来た。
「俺も、是非頼みたいんだけど、ダメかな？」
いつもは言葉少なめで表情を変えない蓮が、不自然なほど笑顔を浮かべている。
周りに居た、女の子たちから「キャーッ」っていう黄色い声と
ため息が漏れ聞こえていた事は、言うまでもない。
「案内なら、私たちがしますけど・・・」と周りに居た女子生徒が何人か
近寄って来たけれど、「大勢だと悪いし」と燐が断ってくれている。
雪兎は、１つ溜め息をこぼして「分かった」と短く答えると席を立った。
後ろを振り返ることなく教室を出た雪兎に慌てて付いていく。
