「・・・なに?」

怪訝な顔で、私を見る雪兎。

どうやら、ずっと雪兎を見てしまっていたみたい。

「あ、ごめんなさい。なんでもないわ。」

慌てて顔を前に向き直し、平静を装う。

―――やっぱり、覚えていない。良かった。

心のどこかで、一抹の不安があったのかもしれない。


『優月、大丈夫か?』

頭に直接、静かな蓮の声が聞こえる。

『隣の奴、昨日のだろ?』

きっと何か気になる事があるのか?と聞きたいのだろう。

右隣りに居る、蓮。

蓮の声を聞くと、少し落ち着く。

やっぱり幼馴染だからだろうか、安心する。

『大丈夫よ。何も問題は無いわ。』

そう、問題無い―――。