「ん?どうしたの、優。」

「なんでもない。」

燐が、首を傾げて不思議そうに見てきたけど

フッと微笑んで、視線を前に戻し、2人に並んで歩き始めた。


私の世話役が、この2人で本当に良かった。


私達は、真新しい制服を身につけこれから通う“高校”と呼ばれる

人間の学校へと向かう。


そもそも、こうやって私達が人間の学校に通う事になった発端は、私の父だ。

昨日、突然あんな事を夜会で発表するんだから。

『ここに居る我が娘だが、1年後に婚儀を行うことにした。』

いま思い出しても、ムカムカする。

1年後に見ず知らずの男と結婚。

しかもその間、この人間界で次期当主としてヴァンパイアの統括、粛清。

期間と環境が限られた中で、婚約者となりえる人物を探さなくちゃいけない。

ほとんど不可能に近い。