「ちょっと、麻子。重いもの持っちゃダメって言ってるでしょ?」
麻子さんの手から、洗濯かごを引き剝がす様に奪っていく燐。
それもそのはず、麻子さんのお腹は大きくて、もうじき臨月を迎える。
お医者様からは、双子だと聞いてるみたい。
「燐、大丈夫だって。私、元看護師なのよ?それに妊婦は少し動かなくちゃ。」
「麻子。何事も過信はいけないよ。」
なんて、2年前の燐が聞いたら驚くだろうな。
燐は、この2年でかなり大人になった。
父親になるって事と、麻子さんを守るっていう想いが、変えたみたいだ。
蓮は、よくヴァンパイア界に戻っている。
月護家の次期当主としての修行と、恋人である澪さんに
逢う為、人間界とヴァンパイア界を行き来しているようだ。
もう私の世話役は解任していいと言ってるけれど
最後までやる、と聞かない。