純血のヴァンパイア

僕が落ち着くまで、優月は背中を擦ってずっと傍に居てくれた。

「優月、ありがとう。もう、大丈夫。」

涙を拭って、笑顔を浮かべた。

そうだ、優月に渡したいものがあったんだ。

「優月、あのさ―――」

コンコンッ――コンコンッ――

優月を呼んだのと同時に、扉を叩く音が聞こえた。

嘘だろ?ココには誰も来ないはず―――――

僕達は顔を見合わせて、驚きつつ

玄関に向かう。



「雪兎ーっ。優ぅー、居るんだろう?」

この声は、まさか――――

恐る恐る扉を開けると、思った通りの人物がいた。

しかも3人も。

「燐、蓮。それに麻子さんまで、なんで?」

そう。そこには、蓮と燐。

そして、僕の記憶を消すはずだった麻子さんがいた。