純血のヴァンパイア

「どういう事だ?」

「凄いね。昔に戻ったみたい。」

カモフラージュ?

いったい誰が――――叔父さん?

ふと叔父さんの顔が頭をよぎった。

両親のお墓もつくってくれていたし、そうかもしれない。

それにあの人はずっと罪の意識に苛まれていたから・・・


僕たちは、ゆっくりと庭を歩いていく。

そこは雪も積もっていなくて、芝生も綺麗に生えている。

噴水も水を湛え、今みた景色が嘘のようだ。


僕は、家の扉に手を掛け、深呼吸を1つした。

自分の家だって言うのに緊張する。

少しだけど、手が震えている。


「雪兎、一緒に開けよう。」

そっと、僕の手に優月の白い手が重なった。

不思議な事に、手が重なった瞬間、震えが治まった。


「ありがとう。」

君って、本当に不思議な子だな。


僕達は、2人で扉を開いた。

鈍い音を立てて開く大きな扉。

そして、中に一歩入る。

玄関ロビーは吹き抜けになっていて、天井には大きなシャンデリア。

ロビーの奥には二階に続く階段がある。