「あ、優月見えたよ。」

木々が少なくなり、隙間から大きな洋館が見えてきた。


門までたどり着くと、その様子に息を飲んだ。


洋館の半分は焼き尽くされ、部分的に崩れている。

庭には、雪が降り積もり

あったであろう噴水も、形を失くし崩れていた。

まるであの日の凄惨な事件が思い起こされるみたいだった。


「雪兎…」

優月がギュッと僕の腕に絡みつき、手を握る。

僕を心配してくれてるんだろうか。

“大丈夫”という思いを使えたくて手を握り返す。


「行こう。」

今にも崩れ落ちそうな門を潜り一緒に中に入る。

すると、景色は一変した。


え―――――??

そこはまるで主の帰りを待っていたかのように

庭は手入れされ、人が何年も住んでいなかった様には見えなかった。