ザク・・・ザク・・・ザク…

季節は巡り、冬になった。


僕たちは、約束していたある場所へと向かっている。

「ねぇ、待ってよ~。」

少し離れた場所から、優月の声が聞こえた。

「ほら、もう少しだから。」

「雪兎早いよ~。」

ゆっくり慣れない雪道を歩いていく。



そう、僕達が向かうのは僕の故郷であり、僕の生家。

学生である僕達は、なかなか長期休暇なんてある訳がなく

冬休みに入って行こうと約束していた。


何年も放置されていた生家、どうなっているか分からないから

最初は、一人で行こうかとも思ったけど

やっぱり優月にも一緒に行って欲しくて―――