それから、これは優月には内緒だけど

叔父さんの話が終わり、人間界に帰ろうとしていた時

僕だけ、叔父に呼びとめられて言われた事があった。


それは―――――

父、悠兎の息子である僕に、次期当主になってくれないか

と言うものだった。

けれど、僕はヴァンパイアに戻ったと言っても

この世界の事は詳しく知らないし、それに人間界の方が好きだ。

だから、叔父の申し出はその場で断った。

叔父は僕がそう言う事が、なんとなく分かっていたのか

フッと柔らかい笑顔を浮かべて

「そうか。やっぱり悠兎の息子だな。」

と誰に言うともなく呟いていた。


「あ、でも―――」

僕は、ある事を叔父さんに告げた。

その事については、とても嬉しそうに

「あ、あぁ。構わんよ。優月をよろしくな。」

と笑顔を浮かべて、固く握手をしてくれた。