「あなたも父と同じで、叔母様がどうしようもなく好きなんですね。
 かけがえのない存在。」

「あ、いや・・・それは。」

いつもの父らしくなく、少し動揺していた。

「さぁ、立って下さい。」

力強く、父を立ち上がらせ玉座にゆっくりと座らせた。

「今まで、十分過ぎるほど自分を苛め、苦しんだでしょう?
 あなたは、優月にそっくりだ。1人で抱え込んで悩んで苦しんで…
 もう、苦しまないで下さい。
 父はあなたの事を自慢の弟だと言っていたんですから。」

「そんな事を、悠兎が―――。」

雪兎の言葉で、感極まったのか

嗚咽を漏らし泣き始めた。


「君は、悠兎にそっくりだ。その優しさも笑顔も・・・」

「そう言ってくれると嬉しいです。僕は父の記憶があまりないので。」

にっこりと笑う。


あ―――この笑顔だ。

私の夢に出てきた、笑顔。

やっぱり、お兄ちゃんは雪兎だったんだ。