「私は、藁をもすがる思いで、雪の中を捜しまわったよ。
 そうしたら、森の中に倒れている雪兎君、君を見付けた。
 その時は、本当に嬉しかったと同時に後悔した。」

私の甘い考えが、君を親なしにしてしまった、と。

そう言葉を続けた。

その後は、雪兎が知っている通りだった。



血の契約の所為で、記憶を無くし病弱になった雪兎を

人間として生きて行く為に病院施設に届け

周りの人間の記憶を書き換えたのだ。

少しでも快適に、過ごせるように。

そして、他のヴァンパイアから狙われにくいように、と。


「雪兎君、本当に済まなかった。私を怨んでくれて構わない。いっそココで殺してくれても良い。」

「僕は、あなたに感謝こそすれ、怨んだりしません。」

雪兎は、お父様の目線に合わせるように身体を屈めた。