「私は、悠兎に忠告こそすれ、問題の一族を処分しなかった。」

父は、悠兎さんの力なら簡単にその一族を処罰できると思った。

そうすれば周りから声も上がって、渋々でも戻って

王位を継いでくれると思ったらしい。


しかし敵は、そう簡単ではなく姑息にも人間を使った。

敵の思い通り、人間を使った事により悠兎さんは何もしなかった。


そして、あの夜。

諜報部員から、今夜人間達が奇襲を掛けると聞いて

父もすぐに駆けつけようとしたが、城で問題が発生して行けなかった。

問題を解決し、駆けつけた頃には、屋敷は炎に包まれていた。


「悠兎ぉ――――――!!」


何も出来なかった、いや何もしなかった自分に、腹が立った。

でも、その時悠兎さんの声が聞こえた。


『雪兎を頼む――――』