「こんな状態で、何を言っても無駄無駄。」

「グッ…ん、あぁぁぁ!」

杭の打たれていない、左手を動かし

静瑠を思いきり殴りつける。

身体のバランスが崩れたのか、ベッドから落ち床に転がる静瑠。


同時に、左手に繋がれていた鎖が外れ

手首が大きく裂け傷口から大量の血が流れる。

純血種の回復力をもってしても

純銀で傷付けられた傷はなかなか治らないらしい。


身体の上から、静瑠が居なくなったお陰で

右手に打ちつけられた、杭を左手で抜く。


既に痛みは感じなくなっていた。

全ての感覚がマヒしている。


ただ、わたしの中には

雪兎をこの場から逃がさなくちゃ―――

その想いが私を突き動かしていた。