純血のヴァンパイア

「もっとこっちへ来て。君の顔を良く見たい。」

そう言われて、警戒心が薄くなっていた私は

呼ばれるままに近づいて行った。


「久しぶりだね。すっかり女性らしくなって」

鈴宮と同じような事を言う。

「あの、静瑠さん。私・・・婚約を」

破棄したい・・・という言葉を最後まで言えなかった。

だって、彼が急に咳き込みベッドに蹲ったから。


「だ、大丈夫?!」

「優しいね~……その優しさは我らには不必要だ」

グッと手を握られ、離れようにも離れられない。

静瑠を見ると、彼の目は既に色が変わっていた。

それは、ヴァンパイア特有の紅い色ではなく

金色で――――


「いや~人間界には、良い物があるね」

笑いながら、目に入れていたカラーコンタクトを取り出した。