純血のヴァンパイア

「失礼しま~す。」

重い扉を開け、中に入る。

「誰?」

部屋の奥から、小さな声が聞こえる。

その声をたどる様に奥へと進むと


天蓋のついたベッドに、上半身だけを起こして

寝ている、1人の男性の姿が見えた。


「あの、静瑠さんですか?」

「君は……優ちゃん?」

その呼び方・・・まさか?


夢を思い出しながら、男性の近くにいく。

すると―――――――――

少しくすんだグレーの長髪。

そして、深いアメジストの瞳。

あ……『お兄ちゃん』に似ているかもしれない。