純血のヴァンパイア

「黒城家の次男、静瑠様です。
 静瑠様は身体が弱く、最近ようやく表に出られるようになったのです。
 それで、どうしても優月様にお会いしたいと申しておりまして
 こうしてお迎えに参りました。」

身体が弱い―――

一瞬、雪兎の顔が浮かんだ。

そして、夜会に今まで来れなかった理由も分かった。

病気だったんだ。

って事は、本当にその人が私の婚約者?!


「でも、優には――――」

そう燐が言いそうになって、すぐに止めた。

私が制したから。

「申し訳ありませんが、私には今好きな人が居ます。
 ですから、このお話は無かった事にしていただけませんか?」


鈴宮は、驚いたように目を見開き

「これは、困りましたね~。」

と顎に片手を持っていき思案し始めた。

「しかし、このまま帰る訳には・・・」

暫く考えた後、笑みを浮かべ言った。

「どうでしょう。お見舞いと言う事で、来て頂く事はできませんか?」