純血のヴァンパイア

最近、夢か現か分からないが

一度だけ夢に見た『お兄ちゃん』と読んでいた少年。

もしかして、あの人が来ているの?


私達は、客間の扉を開け

ソファに座っている男性に目を向けた。


「やぁ…君が優月ちゃん。久しぶりだね?すっかり女性らしくなって。」

誰?この人。

見る限り、60歳を超えた執事風の男性だ。

でも、どこかで会ったことがあるような。

「あ、あの・・・どなたですか?」

「あぁ、申し遅れました。私は黒城家の世話役をしております、鈴宮(すずみや)と申します。」

深々と頭を下げる鈴宮。


「あの、それで・・・私の婚約者、というのは。」

恐る恐る話を切り出す。

まさか、この人が私の婚約者な訳ないよね?

夢の『お兄ちゃん』とは全然似ても似つかないし。