用務員の男性に事情を話して

学校の中に入れて貰う。

夏休みだから、生徒は少ないかと思ったら

案外、部活や進級試験に備えて勉強しにくる

生徒をちらほら見かけた。



「あら、霧生君どうしたの?」

「あ、全部読み終えたんで、本を借りに来たんです。」

図書室の受け付けにいた先生に、紙袋から出した本を渡すと

奥に進み、自叙伝やノンフィクションものの本が置いてある棚へと向かう。


何冊か取り出し、空いた椅子に座った。

そこから、窓の外が良く見える。

部屋の中はクーラーが効いていて涼しいのに

外は、太陽がサンサンと照りつけ蝉がやかましく鳴いている。