ハイジはたぶん。
自分の癖に気付いてないと思う。
また何かやらかすつもりかな。
「…大事な話もあるし」
話?
ちょっと目を伏せたハイジの顔は。
何か違って見えて。
私はその表情になんだか胸騒ぎがした。
「…とりあえず、行きません?」
一瞬だけ見せた憂いを帯びたその表情をしまいこんで。
ハイジはジーンズの後ろポケットにしまってあった鍵を指にひっかけると。
クルクルと回し始めた。
「どこ行くの?」
「内緒」
慣れた手つきで車を走らせるハイジに行き先を聞いてみるけど。
真っ直ぐ前を見たままで教えてくれない。
どこに行くんだろ…。
そして、太陽が沈みかけた頃。
ハイジの運転する車は建物の駐車場へと入っていった。

