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「畜生!」
涼は帰ってくるなり、教室の机を叩いた。
誰もいない教室に、叩いた音が響く。
しかし、軽い音しか返ってこない。
ひどく緩慢な動きで紘子が振り向いた。
「おかえり」
「まったく!新井のせいで酷い目にあったよ!!」
「でも、サボったのは事実じゃん。灸を据えてもらってよかったんじゃないの?」
「よくない!」
涼の目は、些か涙が溜まっているように見える。
噂には聞いていたが、相当怖いんだな、あの先生。
「新井の癖に生意気だ!」
「何でそうなるんだよ!」
「だって……俺、俺さ……」
「ハイハイ。もういいじゃん」
「くそぅ……」
悔しそうに唇を噛む涼。
まぁ、今回はしょうがない。


