「先生、田中先生ってご存知ですか?」
「……知らないわけが無いだろう」
苦々しそうに顔を歪める。
その顔はどう考えても田中先生嫌いな顔だな、うん。
「それより、君達は知らないのかい?」
「何をです?」
「田中先生が殺されたの」
「……!」
紘子が息を飲む。
もうこの子役者にでもなった方がいいんじゃないか。
紘子の演技に思わず目を丸くする。
そんな私達を一瞥すると、先生は溜め息をついた。
「まさか、まだこの話を知らない人がいたとは……」
「す、すみません……」
縮こまり、ペコペコと頭を下げる。
怒られているわけではないのに、怒られている気がするのは何故だろうか。


