「お待たせ」
後ろから掛けられる声。
そこには、コーヒーを持った洋介先生が立っていた。
何やら持ってるマグカップが可愛い。
「先生、あの……」
「うん。分かってるから大丈夫だよ」
そう言って、洋介先生は近くのベンチへ案内した。
涼がちらりとこっちを見る。
横目で見ると、彼は紘子を指差した。
指に流され、紘子を見てみる。
彼女は先生に気付かれないように小さく笑っていた。
「きっと、楽しいんだろうな」
「でも、ポーカーフェイス装ってるよ彼女」
「何か言った?」
すかさず紘子の鋭い視線が飛んでくる。
私達は黙った。


