「何の話してたの?」

「帰りに高橋さんと遭遇。
田中先生のスーツから紙切れ発見。
説明中である」

「いや、誰も三行で説明しろなんて言ってないよ?」

「だって分かりやすいじゃん」

「そう言う問題じゃないよ」

呆れたように涼が溜め息をつく。
そして、紘子に話を続けるよう促した。

「その紙切れに、『こうどうダメ』って書いてあったらしいよ」

そう言って、彼女は携帯電話を私達の方へ向けた。
画面には、『こうどうダメ』と書かれた紙切れが写っていた。

「『こうどうダメ』?行動しちゃいけないって事なのかな?」

「田中先生が持ってたくらいだから、そう言う意味だと思うけど。筆跡鑑定中だけど、恐らく田中先生のだろうって言ってたよ」

「ふーん……」

紘子が携帯電話をしまい、小さく息を吐く。
涼も顎に手を当て、何やら考え始めた。