「……おはよう」

「何でそんなに元気ないの?」

「いや、別に普通だけど」

欠伸を噛み殺し、紘子が答える。
あぁ、彼女も眠いんだ。

紘子は本を閉じると、スカートのポケットから白い携帯電話を取り出した。
そして、いじりながら口を開く。

「昨日自転車置き場まで戻るとき、高橋さんに会ったんだ」

「あら、偶然だね」

「うん。私もビックリしたよ。その時に教えてもらったものがあるんだけど……」

「何?」

「被害者のスーツから、紙切れが見付かったんだって」

「ほー!」

で、それが重要な事なのだろうか。
首をかしげていると、涼が紘子の机へやって来た。