暇人達の華麗なる迷推理




「そう言えば、堀田さん転校したらしいよ」

「え?」

始業式も終わり、先生が教室にいないこの微妙な時間。
紘子の問題集を借り、必死に頭に叩き込んでいるところを彼女に話し掛けられた。

「何かね、アメリカに転勤することになったんだって。急な話だよね」

「じゃあ、今頃向こうの学校で頑張ってるのかもね」

顔をあげ、廊下側の一番後ろの席を見る。
誰も座っていない、ぽっかりと空いた席。

二年間同じクラスで、今まであまり話さなかった。
それでも、いなくなるとどこか寂しいものがある。

「涼が言ってた例の七不思議あるじゃん」

「あるねー」

「アレ、堀田さんから聞いたんだよね」