紘子が一睨みする。
ヒートアップしていて私達の熱が、一気に冷める。
やっぱりこの子、ただ者じゃない。
「あのさ、さっきから思ってたんだけど、何か二人の言い方っていまいち毒が無いんだよね」
「別にそんなもの求めてませんよ」
廉が口を尖らす。
紘子は残念そうに首を振った。
「ただ相手の表面だけを撫でるような、そんな口喧嘩しか出来ないんだったら、もうお前ら喧嘩なんてすんな!!」
「何で紘子に言われなくちゃいけないのさ!」
「そうですよ!紘子先輩には関係ありません!!」
「とにかく、お前ら黙れ」
女とは思えない、底冷えする低い声。
もうこれは黙るしかない。


