不毛な争い。
助けを求めようと紘子をチラリと見るも、彼女は気付かないフリをしてストローを噛んだ。
「廉のあんぽんたん!おたんこなす!!」
「やっぱり恵美ちゃんの方がバカだ!テスト0点の癖に!」
「廉と同じにすんな!」
そろそろボキャブラリーが無くなってきた。
何か、口喧嘩しても虚しく感じる。
「ほらほら、その辺で止めときなよ」
涼が止めに入る。
彼の緊張した表情からして、紘子に頼まれたらしい。
だが、今は止めに入らないでほしい。
「涼は黙ってて!」
「杵島先輩、口喧嘩の仲裁をするのは、野暮ってもんですよ」
「私よりテストの点数低いくせに!」
「待ったぁ!言っておくけど、俺はお前より模試の成績はいいんだからな!」
「うっさい!女々しい男は黙ってろ!」
「……」


