暇人達の華麗なる迷推理


涼が得意気に笑うのに対し、紘子は難しい顔をした。

「それは構わないけど……その子の出る時間帯が分からない。それじゃあ、調べるに調べられないんじゃない?」

「大丈夫。そこら辺も、バッチリ訊いてきたから!それに、ちゃんと調べてあるよ!」

「その余力を、是非とも勉強の方に回してほしいものだね」

「……相変わらず、厳しいね」

涼が苦笑する。
目尻にシワを寄せて笑うその顔は、高1の頃から変わらない。

二人の事をぼーっと見ていた私の顔を、二人がまじまじと見てくる。
やがて、紘子が口を開いた。

「恵美、顔色悪いけどどうした?」

顔色が悪いのも当然のこと。
私は今、とてつもない不安に襲われている。

私は二人に向かっておずおずと言った。

「英語の問題集を……貸してください……」

「……」

二人は顔を見合わせ、大袈裟に溜め息をついた。