紘子が指を差して説明すると、美紀は嬉しそうに顔を綻ばせた。
「あぁ、噂の清水くん!」
「オレどんだけ有名なんですかっ!!」
廉の顔が青くなる。
うん、悪い意味で有名だよ、君。
なんたって、洋介先生の授業を受けてない私でさえ知ってるんだから。
「可愛いなぁ……」
美紀は廉を見て楽しそうに笑った。
そして、近くから椅子を引き寄せて座る。
勿論、廉の隣に。
「初めまして!木更津美紀です」
「清水廉です。よろしくお願いします」
突然の人物に戸惑いながら、廉は頭を下げる。
美紀が来てしまった。
他人には公言できないため、必然的に事件の話はできなくなる。


