「席がないんでしょ?一緒に座ろうよ!」
涼が私を見つつ、楽しそうに呼び掛ける。
いや、訂正。
涼が私を見てニヤニヤしながら廉に呼び掛ける。
彼は隣に置いてある荷物を下ろした。
「いいんですか?」
「いーよ!」
「すみません……」
恐縮しつつ、私の前に座る。
最悪だ……せっかくのバニラシェイクが不味くなる。
「そう言えば、まだこっちの人紹介してなかったね!」
紘子がパシンと手を叩いて涼を指す。
廉はコクりと頷いた。
「杵島涼(きねしま りょう)って言うんだよ。うちのクラスの変わり者」
「せめて、変わった名字って言ってくれないかな?」
涼の異議もさらりと流す。
そして、何事も無かったかのように廉を紹介する。


