「それにしても、犯人は誰なんだろう……」
ぼんやりと、紘子が呟く。
それを切っ掛けに、自然としんみりした空気になった。
特に誰かが喋るわけでもなく、ただ黙る。
別に嫌な感じはしなかった。
「あ」
ふと、紘子が顔を上げる。
涼も身を乗り出して、紘子の向いている方を見る。
何だろうと思い、私も彼女の視線の先を見た。
「がっ……!」
何故、1日に二回もこの人を見なくてはいけないのだろう。
「おーい!清水くーん!!」
紘子が手を振って、席を探している廉に呼び掛ける。
わざわざそんなことする必要なんかないのに。
廉はこちらに向かって頭を下げ、何か近付いてきた。


