したり顔の紘子。
まぁ、いつもの事だけど、謝りたくなる。
涼は携帯電話を弄り、おもむろに話し出した。
「えーっと、図書室に本返そうと思ったから、東階段を使ったらしいよ」
「なるほど……」
図書室は東階段側にある。
7時だともう閉まっているが、外に返却ボックスがあるのでそれに入れておけば問題ない。
洋介先生は返却ボックスに本を入れて、階段を下りたところで私達の悲鳴を聞いたのだろう。
「あとはそのままだよ。うわぁ、何かこんなこと言えるのってカッコイイ!」
涼は嬉しそうに笑い、近くにあったサンデーを引き寄せた。
確かに、めったにこんなことは言わないからね。


