暇人達の華麗なる迷推理


机を勢いよく叩き、声を上げる紘子。
私と斜め後ろで問題集を見ていた涼(りょう)がはね上がった。

彼は顔をあげると、驚いたようにこっちを見てきた。

「なぁ、新井。そろそろ現実を見ようぜ」

「見てるよ!見てるよ……」

紘子の語尾が徐々にフェードアウトしていく。
涼はニヤリと笑うと、こちらに向かって指を差してきた。

「まあまあ。テスト終わったらさ、夏休み辺りから有名になっている七不思議探そうよ」

「あー、アレ?『夜になると、首を探して女の子がA館の西階段をさ迷ってる』ってやつ?」

「そうそう!是非とも三人揃ったときに調べて見ようと思ってね」