「むしろ逆。田中先生は、先生達の中でも敬遠されてたんだ」

「……」

沈黙が訪れる。
ただ黙っているだけ。
言葉を発したくても、うまく言えない。

「……どうしてそれを高橋さんに言わなかったんですか?」

紘子が静かに尋ねる。
彼女は咎めるような目で、洋介先生を見ていた。

「……君達、高橋さんの刺客?」

「違います」

即答。
先生は苦笑いを浮かべた。

「君達は、何でそんなにこの事件に首を突っ込んでいるのかな?」

「それは……第一発見者だからです。何故か私達が、署内で疑われているらしいです。
自分の無実を証明するために動く。当たり前の事じゃないですか?」