暇人達の華麗なる迷推理


「はい!あります!」

紘子が元気よく手を挙げる。
高橋さんは先生みたいに、彼女を指した。

「先生が持っていたあの"腕"、一体何だったんですか?」

「あー、あれね」

「と言うか、あれは本物なんですか?」

「うーん……詳しいところは調査中だから、あんまり言えないな」

「そっかぁ」

「でも、多分あの腕は本物だと思うよ」

ワォ。
何てことだ!

「それに、だいぶ古いものだと思う。変色してたし」

「……ミイラみたいですね」

紘子が苦々しく顔を背ける。
どこから持ってきたのかも分からない、誰かの腕。
私達三人の恐怖を煽るには、十分すぎるほどの材料だった。

「被害者の死亡推定時刻は午後7時前後。これくらいだね」

話しすぎたかなぁ、と苦笑して高橋さんは立ち上がった。
手帳をしまい、私達を見つめる。

「くれぐれも、今の事は公言しないようにね。君達を信頼して言ってるんだから」

「分かってますって!!」

まぁ、ちょろっと口が滑ることくらいあるかもしれないけど。