「どうやら、ナイフで刺されてから落とされたらしい。全身痣だらけだったし」
「でも、私達が見たときにはナイフなんて刺さってませんでしたよ?」
「うん。多分、落とす前にナイフを抜いたんだろうね。八階の階段に、僅かに血痕が残ってたよ」
「うわぁ……」
何ともグロッキーな話である。
涼は顔をしかめ、そっぽを向いた。
「ナイフは、背中から心臓に向けて刺されていたらしいよ。だから、他殺の可能性が高い。警察は、殺人事件の方向で話を進めているね」
そこまで言うと、高橋さんは手帳を閉じた。
そして、にっこりと微笑む。
「被害者について言えることは、ここまでかな。何か質問ある?」


