詳しい事情は分からない。
でも、取り敢えず大変なことは理解した。
「あと、藤原さんも口を固く閉ざしちゃって」
「あの洋介先生が……?」
紘子が怪訝そうな顔をする。
顔をあげると、涼と目があった。
彼は、困ったように肩を竦めるだけだった。
「とにかく、もう一度整理してから出直してみることにするよ」
高橋さん、真面目だなぁ。
やっぱり、人間こうでなくちゃいけないのかな。
高橋さんは咳払いをすると、真剣な表情で手帳を見た。
「役に立つかどうか分からないけど、被害者のこと聞きたい?」
「ぜひぜひ!!」
涼、そこで顔を輝かせるのも不謹慎ではないだろうか。


