嵐が去っていった。
高橋さんは困惑したように笑い、こっちを向く。
「何か……落ち着いたね」
「そうですね……」
みんなの目線は、洋介先生と廉がいたところに向いている。
高橋さんは、持っていた分厚い手帳をパラパラと捲った。
「取り敢えず、藤原さんに話は聞いたから……今日は帰ろうかな」
「他の人に話は聞かなくていいんですか?」
紘子が訊けば、高橋さんは難しいそうな表情をする。
何か事情があるらしい。
「昨日、一応一通り学校関係者に話は聞いたんだけど……どうもいい話がなくてね」
「そうなんですか?」
「うん。それに君達には関係がないけど、とある事件も追っているんだ。
それで、そっちの方に人員がいっちゃって……まぁ、色々と大変なんだ」


