玄関に戻ると、近くのベンチに高橋さん、涼、紘子、洋介先生がいた。
もう既に取り調べは始まってるらしい。

私もその中に加わろうと足を踏み出そうとしたところ、誰かに肩を掴まれた。

「ねぇ、答えになってないんだけど」

「……」

清水くんである。
そして、しつこい。

「ねぇ清水くん、君はこんなことしていいと思ってんの?」

「えっ、ダメなの?」

「洋介先生に怒られるよ」

「えー……」

清水くんが口を尖らせる。
私はそれを無視し、前を向いた。

――いない。
ベンチに誰も座ってない。

「どこ行った?」

「えっ?いないの?」

下駄箱の影から、ベンチを覗き見る私達。
端から見たら、すごく怪しい。