暇人達の華麗なる迷推理


藤原洋介先生。
世界史の担当の先生だ。
丸眼鏡から見える優しそうな目が、先生の人柄をよく表している。
背が高く、いつも背筋がピンとしている。

私は直接先生の授業を受けていないが、紘子が選択授業で先生の授業をとっている。
いつも彼女と一緒にいるせいか、私も先生と顔見知りになっていた。

滅多に怒ることが無いらしいが、今日は何やら空気が怪しい。
それは、先生の目の前にいる男子生徒がよく示してくれている。

「さて、清水くん」

男子生徒に向き直り、先生が呼び掛ける。
ワイシャツのワンポイントの色から、男子生徒は高2だと分かる。

もしかしたら、この子は洋介先生のクラスの子かもしれない。