職員室はA館の三階にある。
マンモス校だけあって、職員室も大きい。
部屋の前には、先生と生徒が語らえるように椅子が置いてある。
紘子が職員室のドアを叩き、開けて中を覗く。
ドアの隙間から、先生達が慌ただしく動く姿が見えた。
「すいません、藤原洋介先生はいらっしゃいますか?」
中の先生に向かって、彼女が呼び掛ける。
すると、そのうちの一人の先生が答えてくれた。
「洋介先生だったら、たった今、職員室を出ていったよ?」
「どこに行ったか分かります?」
「さぁ……でも、案外すぐ側のベンチにいるかもしれないね」
なるほど。
洋介先生だったら、あり得ない話でもない。
私達は先生にお礼を言い、ドアを閉めた。


