分かっているが、口に出すことを躊躇ってしまう。
しかし、今は廉の生死が掛かっているんだ。こんなところで躊躇している暇じゃない。
「廉ね、洋介先生に東西南北の先生に怒られてこいって頼まれていたらしいんだ」
「は……はぁ!?」
涼が声を上げる。
意味分からないもんな。私も理解できないよ。
「何のために、どういう事を思って廉に頼んだのかは分からない。でもね、確かに廉はそれを実行したんだ」
「洋介先生って変人だったのか……」
頭を抱え、小さく呻く。
そんな涼の脇で自転車を押していた紘子が、はたと足を止めた。
そして、自転車を止め、涼を押し退け私から紙を奪った。


