「恵美……」
「……何?」
「ううん。何でも。私は先生呼んでくるから、清水くんに呼び掛けて!」
「う、うん」
「言っておくけど、体とか揺すっちゃダメだからね!」
それだけ言うと、彼女は涼と同じく階段を凄い勢いで上っていった。
残るは静寂。
噎せ返るような血の臭い。
何でこうなっちゃったの。
「ねぇ、廉……しっかりしてよ!」
彼に側に座り、声を掛ける。
しかし、何の反応も示さない。
今の状態だと、息があるかどうかも分からない。
仰向けにした方がいいのかな。
でも、下手に動かして悪化したら……
良くない考えばかりが頭をよぎる。


