私だって、何度も言おうと試みたよ。
でも、どうしても意地が張って言えなかった。
「……で、清水くんはどこに行ったの?」
靴を履き替えながら、紘子が訊く。
「調理室。何で行ったのかは不明」
「そっか。でも、何で調理室なんだろう?」
「さあ?」
首をかしげてみても、答えが分かるわけではない。
この事が重要なのかも分からない。
「――ねぇ、犯人誰だと思う?」
遠い目をしながら、ふと涼が呟いた。
ある程度の情報は全て出てきた気がする。
しかし、私たちは警察でもなければ探偵でもない。
犯人を割ることなんて不可能だ。
せいぜい出来ることと言えば、情報整理だけ。


