「あの怒りに耐えられるほど、廉ってタフに見えないんだけどな……」
「それは言えてる」
本人がいないところで言いたい放題。
まぁ、本人がいないからこそ言えることでもあるが。
「それと、廉の居場所。本当は私知ってる」
「……えぇ!?」
ガタリと涼が靴を落とす。
その目と口は、あり得ないと言わんばかりに開かれている。
「何でそれを早く言わなかったのさ!」
「言ったら負けだと思ったから」
「働いたら負けみたいに言うなよ!」
バシバシと下駄箱の蓋を叩きながら、文句を言う涼。
対して、紘子は呆れたように溜め息をつき、私から目を逸らした。


