高橋さんの顔色が変わった。
止まることなく、紘子の説得は続く。
「幸い、私達は普段目立った行動をしていません。先生ウケもいいハズです。
それに、そこそこ友達もいる。高橋さんより顔が広いと思います」
「……」
「そして、私達も容疑者と言う名の関係者です。事件に全く無関係の人間ではありません。
おまけに自分達にかけられた疑いも、晴らすことができる。一石二鳥だと思いません?」
自分で言っちゃうところが、さすがである。
でも、間違ったことは言っていない。
しばらく唸った後、高橋さんは溜め息をついて、ポケットから分厚い手帳を取り出した。


