「清水くんから預かったものです」
私の言葉を聞いた瞬間、先生の顔色が変わった。
「庄司さん、彼から何か聞いたの?」
「いいえ。何も聞いていませんよ」
笑って答える。
ここまで来て、何も隠す必要は無いと思う。
それでも、洋介先生に言うことはできなかった。
笑った顔が少しぎこちない感じになってしまったのかもしれない。
先生は眉を寄せ、更に訊いてきた。
「清水くん、どこにいる?」
「ごめんなさい、わかりません」
「本当に?」
「本当です」
本当は調理室にいるんだけどな。
その事を話そうとはこれっぽっちも思わなかった。


