「あのさ、これは廉が洋介先生から直接頼まれたものでしょ?だったら、自分で渡した方がいいんじゃない?」
「……それはできません」
「何で?」
私がこれを洋介先生に渡してしまったら、廉と洋介先生が交わした約束を破ってしまったことがバレてしまう。
意味が分からず首をかしげると、廉は人差し指を天井に向けた。
「今から調理室で待ち伏せするんです」
「調理室?どこだっけ?」
調理室なんて場所、覚えていない。
一年の時に調理実習で使った覚えはあるが、どこにあるか忘れてしまった。
すると、彼は呆れたように深いため息をついた。


