「ねぇ、恵美ちゃん。君さ、今この場から逃げたいよね」
「……」
「うん。その気持ち分かるよ。オレだって、自分でビックリするほど今迫力満点なんだなって思ってるもん」
だったら、その迫力消してくれないかな。
怖くて、顔も見ることができない。
「そんなに恵美ちゃんが嫌がってるなんて、思ってもなかった」
「そんなこと――」
「でしたら、本来の呼び方に戻しますよ。恵美先輩」
「……」
そっちの方が嫌だ。
それでも、何故か口は開いてくれない。
廉は私の方へ一歩足を踏み出し、ポケットの中から一枚の紙を取り出した。


